グラフ,間違ってみていない?ネットで議論を呼んだグラフについて簡単に解説
ある有名な方が,コロナウイルスの死者数に関して山が見えない.という風にいわれました.つまり,増え続けていて下がる傾向がみられないということです.
なぜそういう風に見えるのか,実際にどうなのか,このグラフの特徴とともに簡単に解説します.
さて,このグラフ,イタリア,スウェーデン,日本のことについて書いてあります.
イタリアやスウェーデンは,これを見ると一時期に比べ,増加がなだらかになっているように見えますし,日本は一向に増加しているように見えます.
どうしてそうなっているのか,実際日本はかつてニュースで悲惨な状態が伝えられたイタリアなどのようになって行っているのか.
まず,このグラフを見るときには,何についてのグラフなのか,縦軸(縦の伸び)は何をているのか,を理解しなければいけません.
何をどのように表しているグラフなのか
さて,このグラフは何のグラフなのでしょう.
これは,人口100万人当たりの死者数がどのように変化しているかです.
いわゆる累計グラフであることにも注意しないといけません.
つまり,日を追うごとに亡くなっている方がどれだけ増えていっていいるかを足して,その合計人数を人口で割って100万人当たりであらわしています.
どうしてそのようにするのか
それは国同士で比べるとき,すべての国で人口がバラバラです.その人口がばらばらの中である国がどれだけやばいのかを比較するためにこのようにしています.
例を見てみましょう.
例えば,A国とB国が1月1日から1月4日までの亡くなった方が次のようだったとします.
これを見る限り,B国のほうが,たくさんの方がなくなっていて大変な感じがします.
ここで,それぞれの国の人口を踏まえて考えてみましょう.
人口がA国では1億人,B国が4億人だとすると,人口1億人当たりではA国では1人,B国では0.65人とA国のほうが深刻そうということがわかります.
さて,このグラフで,山が見えない.つまり,ほかの国ではなだらかになっていっているのに日本はなだらかになっていないと言っていました.
このグラフは累計です.つまり,前日のに今日の,前日のに今日のと,繰り返して足していっているので減ることはありません.
もちろん増えているときは斜めになりますが,一日の死者が0人の時は横に平行な直線になります.
さて,これについて解説します.
まず,次のグラフを見てください.
一日の亡くなった方(亡くなった方で例えるのは不謹慎ですが気にしないでください)
4/1から4/4で毎日10人の方がなくなったとしましょう.
4/5に5人,4/8には0人となってそのまま0人になったとします.ニュースではこの形はあまり見ないグラフですが,よく見るグラフにかえてみてみましょう.このように表せます.
一方,よく見る,累計グラフに変えるとさきほどのグラフは次のようになります.足していっているので前日の数と同じにはなっても(今日が0の場合)下がることはありません.
しかし,なだらかになっていっていることをみるとだんだんと被害が収まっていっているように見えます.
ケタの違いに注意.
さて,このグラフ,もうすぐ日本は他の国に追い付くんじゃないかと思うかもしれません.
しかし,縦軸は,10倍ずつ増えています.
対数グラフといってこのグラフの見方についてはこちらをご覧ください.
コロナウイルスのグラフで気をつけなけらばならないこと.
よく見ると線の間隔もばらばらでわかりにくいかもしれません.直感的にはわかりにくいかもしれませんがこのようなグラフもあるのです.
これで見ると,日本は最近すごく増えているように見えるかもしれません.
4/12から19日のグラフを見てみましょう.
人数で見てみると,日本はこの7日間で100万人当たりの死者数が0.7人から約1.5人になっています.約0.8人の増加です.
一方イタリアは300人から400人と100人の増加です.傾きで見ると日本のほうがすごく増えているように見えているのですが,イタリアは約100人の増加です.
これはこのグラフの特徴なのですが,このようになります.
しかし,イタリアはこの一週間で約100人の増加ですが300から400人で約1.3倍の増加ですが,日本は0.7人から1.5人と約2倍の増加になっていることが分かり,増え方の倍率という観点ではこの傾きはすごく重要です.もちろん,1人から2人になっても2倍ですが,300人が二倍になるのは600です.このような違いがあるのは当たり前ですが,それでも日本は安心できるわけではありません.
このように縦軸のケタにも注意しないといけません.
まとめ
楽観視しすぎも,センシティブになりすぎもよくありませんが,どちらにしろしっかりとデータを見れるようにならなければいけません.
一度注意する点を見れば,それ以降は惑わされることは少なくなるでしょう.